ミッケルアートによる脳機能活性の効果

~ミッケルアートを活用した認知症ケア検証のための基礎研究~ 

2013年 日本認知症ケア学会 石崎賞受賞

❶HP トップ ロゴ 資料請求一覧.png

発表者 橋口論 静岡大学発ベンチャー企業・株式会社スプレーアートイグジン 
富谷理子、大河原知嘉子 / 東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
大黒理惠、齋藤やよい / 東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科

1. 目的

 

 絵画(ミッケルアート)を用いた認知症ケアの効果検証の基礎研究として、絵画による生理的・心理的影響を脳血流量、眼球運動、および主観的評価から明らかにする。 
 


2. 方法
 

 健康な成人女性8名を対象に、色やモチーフが多くストーリー性のある小学校校舎の風景を描いたミッケルアート(スプレーアートEXIN製)を見てもらい、脳機能活性の変化を実験的に調査した。実験は温湿度、照度を調整した同一環境で行い、測定は脳血流量(頭部近赤外光計測装置、日立HOT121B)、眼球運動(アイマークレコーダー、NacEMR-9)により行った。主観的評価は絵画への嗜好、見て感じたこと、覚えていることなどの自由記載内容分析により行った。 
 


3. 倫理的配慮
 

 公募に応じた対象者に、研究方法、個人情報・秘密保持等の説明を行い、本人の自由意思により参加してもらった。方法はすべて非侵襲的であり、申し出によりいつでも中断、棄権できることを説明した。
 


4. 結果
 

 絵画に対して「リラックスする」「生き生きする」「元気いっぱい」「活気がわく」と感じた快適群4名では、絵画を見たことで左脳血流量は0.22mM-mm、右0.24 mM- mm変化したが、感じなかった非快適群4名では左-0.1 mM-mm0、左-0.09 mM-mmであった。眼球運動は、0.2秒以上の注視の総数、および回数に違いはなかったが見方には違いがあり、非快適群は偏りなく注視するのに対し、快適群は絵画中の特定の場所を有意に長く注視した。また、自由記載の文字数・項目数も快適群に多かった。 
 


5. 考察
 

 絵画を快いと感じて注視し、何かを想起・記憶することを通して、脳血流量は増加し、語りの文字数を増加させる効果があることが明らかとなった。意識的に対象の好む情報を取り入れた絵画を提供し、効果的に注視を誘導ことが脳機能活性につながることが示唆された。