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介護予防「医学誌にミッケルアート回想法」が掲載されました。


新人スタッフでもできる認知症プログラム「ミッケルアート」

橋口論

静岡大学発ベンチャー企業・株式会社スプレーアートイグジン

Rin Hashiguchi Univ. of Shizuoka‐led VBC, SPRAY ART EXIN Co.,Ltd.

KeyWords: ミッケルアート、回想療法、認知症ケア、コミュニケーション

Abstract

日本の高齢化社会における基本課題の一つは、認知症高齢者の増加に対応する介護人材の確保とその質の保証である。

介護現場では特に次の三つの課題 解決が求められている。

1 新人スタッフを中心とした人材の育成

2 中堅スタッフの経験的ノウハウの伝承からエビ デンスに基づく非薬物療法の確立

3 家族に対する説明責任の確立

三つの課題に共通するキーワードは、エビデンスである。エビデンスに基づく非薬物療法を確立することによって介護の質が保証されて経験的ノウハウの プログラム化が促進されるとともに、新人を含む人材の育成が容易となり、さらにはケアの実際を家族に分かりやすく説得力のある説明責任のツールが確立されると期待することができる。 本稿では、全国の介護現場の喫緊の課題に取り組むツールとして筆者が開発してきた認知症プログラム としての「ミッケルアート」について紹介したい。

1.「新人スタッフでもできる」ためには

ミッケルアートは懐かしい絵を通して高齢者のコミュニケーションを促進するプログラムである。絵画の題材として、茶の間など、当時の日本の生活に伝統的 な風習を意図的に描くことで「懐かしい」という感情を喚起し、同時に、隠し絵的に配置された動物などのアイテムを「見つける」というクイズ性を付加 している。さらに、新人スタッフでもミッケルアートを活用して認知症ケアおよび認知機能訓練が同時にできるように、絵の裏面に会話のマニュアルが示されている。

2.エビデンス

文献1によれば,高齢者104人に対し,ミッケルアー トを週2回20分間実施した結果、認知症自立度は 83.3%が維持、寝たきり度は80.0%が維持された。BPSDはDBDスケールを用いて評価点数の2時点間の差の平均値を示し、介入直前と比較し、介入開始から1ヶ月後は 1.23 点改善した。統計分析の結果, 有意水準1%で有意な差が認められた.介入直前と比 較し介入開始から3ヶ月後は 1.55 点改善した。同時に、統計分析の結果,有意水準 5%で有意な差が認められた1).

文献2によれば、これまでの研究を通して、ミッケルアートによる脳機能の活性化、眼球運動の促進、発語数の増加が確認された2),また、BPSD緩和への有効性を示す結果を得ている。

3.今後の課題

これを踏まえてスタッフを育成することが大事。

エビデンスに基づいた研修プログラムにあたっては、今後次のようなことが指摘できる。

次の点に留意してプログラムの改善に努めたい。

1 新人スタッフでも利用可能な点

2 職場内のスタッフ同士の学習を促す点

3 家族に対する説明責任を果たす点

今後も精度をあげるためにデータを集めなければ ならない

1の課題 2の課題 3の課題をいかにプログラム化するか

また、病院の認知機能訓練としてのリハビリテーション効果の検証作業を通して、高齢者の認知症ケア及 びリハビリテーションにおける非薬物療法の開発に取り組んでいきたい。

文献

1.橋口論,齋藤やよい,大河原知嘉子 他. ミッケル アート(昔懐かしい絵画)による回想療法の数値評価・ 検証 .公益社団 法人全国老人福祉施設協議会 老施 協 総研 平成25年度調査研究助成事業報告書 2014;5‐6.

2.橋口論, 大黒理恵,齋藤やよい 他.ミ ッケルアート による脳機能活性の効果. 第 14 回日本認知症ケア 学会誌.2013;275.

 
 
 

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